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Claude Opus 5.5が登場:安くなったが、モデルIDを変えるだけでは動かない
2026年9月22日、AnthropicがClaude Opus 5.5を公開しました。Opus 5より安く、速くなったモデルです。一方で、APIの一部の指定がエラーになるようになったため、モデルIDを書き換えるだけでは動かないケースがあります。9月28日にはSonnet 5.5も続き、9月30日にはSonnet 4.5の廃止予定が告知されました。今月の動きを、移行作業の目線で整理します。
何が起きたのか
Opus 5.5はClaude 5.5ファミリーの最初のモデルです。Anthropicは、多くの作業でClaude Fable 5.1と同等の水準に達しつつ、一般的な使い方ではOpus 5より約40%安く動くと説明しています。
API料金(100万トークンあたり、米ドル)は次のとおりです。
| モデル | 入力 | 出力 | キャッシュ読み込み |
|---|---|---|---|
| Claude Opus 5.5 | $4 | $20 | $0.20 |
| Claude Opus 5 | $5 | $25 | $0.50 |
| Claude Fable 5.1 | $10 | $50 | $0.25 |
単価は2割下がり、さらに1タスクあたりの消費トークンも減ったとされています。この2つが合わさって「約40%」という数字になっている、と私は読んでいます。
主な仕様は以下です。
- コンテキストは標準で100万トークン、最大出力は12.8万トークン
- 適応型の思考(adaptive thinking)が常に有効
- 出力の生成速度はOpus 5より30%以上速い
- 最大2.5倍速の高速モード(fast mode)があり、料金は入力$8・出力$40。Claude CodeとAPI(リサーチプレビュー)で使える
- Claude API、Amazon Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundryなどで提供
ベンチマークでは、エージェント型のコーディング評価であるTerminal-Bench 4.0で66.4%(Opus 5は52.3%)と大きく伸びています。ただしAnthropic自身も、この水準になるとベンチマークの差は実力の目安として当てにしにくいと注記しています。他社モデルが上回っている項目もあります。
その後の動きも続きました。9月28日にSonnet 5.5(claude-sonnet-5-5)が公開され、9月30日にはSonnet 4.5(claude-sonnet-4-5-20250929)が非推奨となり、Claude APIでの提供終了は2026年11月30日と告知されています。
何が変わるのか:APIの互換性
今回、開発者にとって一番大事なのは料金より仕様変更です。リリースノートによると、Opus 5.5では次の指定が400エラーになります。
- 思考のオン・オフ指定:
thinkingにdisabledやenabledを渡すとエラーになります。thinkingフィールド自体を省き、思考の深さはeffort(努力度)パラメーターで調整します。既定のeffortはmediumです。 - ツールの強制呼び出し:
tool_choiceのanyとtoolが使えなくなりました。autoにして、ツール定義の厳格化(strict tool use)で出力形式を担保する形が推奨されています。 - 旧形式のコンピューター操作ツール:Claude APIとGoogle Cloudでは
computer_20251124が受け付けられず、新しいcomputer_toolset_20260801が必要です。Amazon Bedrockでは旧形式も引き続き動きます。
Sonnet 5.5にも似た変更があり、事前の思考を抑えたい場合は disabled ではなく between_tools という指定を使うよう案内されています。
特に影響が大きいのは2つ目だと思います。「必ずこのツールを呼んでJSONを返させる」という書き方は、請求書の読み取りや問い合わせの分類など、業務の自動化でよく使われてきたパターンだからです。
実務での影響・対応
事業者の方へ
AIを組み込んだ社内ツールや外注で作ったシステムがある場合、まず「どのモデルを使っているか」を開発担当者に確認してください。Sonnet 4.5を指定したままのシステムは、11月30日以降にClaude API経由では動かなくなります。11月はすぐ来ます。
料金面では、Opus 5.5に切り替えると費用が下がる可能性が高いです。ただし40%という数字はAnthropicの標準的な条件での話です。自社の処理を数日分流して、実際の請求額で比べることをおすすめします。プロンプトの長さや出力の量によって、削減率は変わると考えています。
Claudeを月額プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)で使っている場合は、5時間あたりの利用上限が引き上げられています。こちらは設定変更なしで恩恵を受けられます。
開発者の方へ
移行は次の順で進めるのが安全です。
- 該当箇所を洗い出す:コードベースから
thinking、tool_choice、computer_を検索します。
grep -rnE 'thinking|tool_choice|computer_20' src/
- パラメーターを置き換える:
thinkingの指定は削除してeffortに寄せ、tool_choiceはautoに変えます。 - 出力の検証を強める:ツール呼び出しが強制でなくなる分、レスポンスに期待したツール呼び出しが含まれているかをコード側で確認し、なければ再試行する処理を入れます。以前の記事「AI開発のエラーハンドリング」で書いたレスポンス検証の考え方がそのまま使えます。
- コストと品質を並べて比べる:同じ入力で旧モデルと新モデルを動かし、トークン数・応答時間・出力の質を記録します。
これまでモデルの更新は「設定ファイルの1行を変えて終わり」に近い作業でした。今回は、思考の扱いとツール呼び出しという、アプリの作りに関わる部分が変わっています。モデル更新を小さな改修案件として扱うほうが、結果的に手戻りが少ないと見ています。
なお、Anthropicは移行ガイドを公開しています。個別の書き換えはそちらで確認するのが確実です。
まとめ
Opus 5.5は、料金・速度・性能のいずれも前のモデルから改善されています。業務でAIを使う側にとっては、費用を下げられる良い機会です。
その一方で、APIの指定がエラーになる変更が含まれ、Sonnet 4.5の提供終了も11月30日に迫っています。まずは自社のシステムがどのモデルを、どんな指定で呼んでいるかを確認するところから始めてください。
参考リンク
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